東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野講師の木野志保氏らは、
東北大学、千葉大学、米・ボストン大学、国立保健医療科学院との共同研究で、
日本老年学的評価研究(JAGES)のデータおよび
介護保険データを用いて口腔の健康状態と35項目の
健康および自分のしたいようにできるかという指標との関連を網羅的に検証しています。
【調査対象】
- 26市町村に在住する65歳以上の高齢者で、2010年にJAGESの口腔の健康状態に関する自記式質問票に回答した人。
- かつ、2013年の追跡調査に参加した5万8,137人。
- そのうち、2019年の追跡調査に参加した1万5,905人と、2019年までの全死亡率、認知症、機能障害に関する情報について介護保険データベースとの突合が可能だった3万2,827人
対象を歯科補綴物使用状況と残存歯数で、
①補綴物あり10~19本群
②あり0~9本群
③なし10~19本群
④なし0~9本群
⑤対照群(20歯以上)
-に分類しています。
2010年の患者背景を調整した上で、
2013年の口腔健康状態と
2019年の35項目の健康および
well-beingの指標
(身体・認知・精神的健康、主観的well-being、社会的well-being、利他的行動、健康行動など)との
関連を網羅的に検討しています。
検討の結果、
対照群に対する2019年における死亡リスクは、
- 補綴あり10~19本群で10%〔リスク比(RR)1.10、95%CI 1.01~1.21〕
- 補綴あり0~9本群で26%(同1.26、1.17~1.35)
- 補綴なし10~19本群で16%(同1.16、1.03~1.32)
- 補綴なし0~9本群で33%(同1.33、1.19~1.48)
となっています。
あくまでも相関関係であり、
かつ必要条件か十分条件かも分かりませんが
死亡リスクを高める
様々な因果関係も分かってきています。
健康寿命はお口から…
事実としてお伝えしていきたいことですね。